矯正治療

小さなお子さんだけでなく、永久歯に生え換わってから、成人の方の矯正治療も可能です。
矯正治療の代表的な事例をご紹介いたします。

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子供の矯正治療

早めの治療で負担を少なく-
お子さんの歯並びに疑問を感じられたら、まずはご相談ください。

子供の矯正治療では、主に咬み合わせの問題を治します。咬み合わせに問題がある場合、顎の骨格や、顎関節、歯周組織の発育に悪影響を及ぼすことがあるからです。

小学生イメージ

その中でも、顎の骨格に問題のある受け口は早くから治療を開始した方が良く、小学生低学年頃から治療を開始します。

その他の咬み合わせの問題の、出っ歯や、歯のガタガタにより咬み合わせが不安定になっている場合などは、もう少しあとの9歳前後の、側方歯(糸切り歯より後ろの歯)の永久歯への交換が起こっている時期に治療を開始します。

また、子供の間は上の顎の幅を大きくすることができるので、拡大してガタガタを解くスペースを作ったりします。ただし、下顎はあまり広がらないので、咬み合わせに注意しながら拡大する必要があります。

奥歯の乳歯の第二乳臼歯は、後から生えてくる第二小臼歯より大きいため、その大きさの差を利用してスペースを作ることもあります。

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◆経過を見ながら一人ずつに合わせた治療を

子供の矯正では、通常、負担の少ない取り外しのできる装置を使用して、まず矯正歯科に対して徐々に慣れていただきます。その後必要であれば、本格的なワイヤーの治療に移行します。

子供の矯正を行う場合には、このように1期治療、2期治療と2段階に分けて治療を行なうことがあります。1期治療がうまくいけば、そこで治療が終わりになることもあります。

取り外し可能な装置

歯並び、見た目、咬み合わせの問題が残っていれば、ワイヤーによる、2期治療が必要となります。このワイヤーの矯正は、永久歯が生え揃ってから開始します。

最初の段階の1期治療で、骨格や咬み合わせの異常や歯のスペース不足の問題を取り除くと、次の段階の2期治療でワイヤーの矯正治療の期間を短縮することができたり、歯の抜歯を避けることができます。

そのため、お子さんの歯並びでお悩みの場合は、早めにご相談いただくのが得策だと思われます。

矯正治療の治療対象となる歯並び・咬み合わせ
永久歯、成人の矯正治療

永久歯に生え換わってからの矯正治療では歯にブラケットという小さな装置を付け、そこにワイヤーを通して歯をキレイに並べて、咬み合わせも治していきます。
当院では、ブラケットはセラミック製の白く目立ちにくいものを2種類使っています。

セルフライゲーションブラケット(クリッピー)

◆痛みと治療期間を軽減するセルフライゲーションブラケット(クリッピー)

一つ目はセルフライゲーションブラケット(クリッピー)と言って、ブラケットに蓋があり、それを開け閉めすることによってワイヤーを通すものです。

この装置の特徴は、治療の初期段階では、ワイヤーが装置の中を小さい摩擦ですべるように動くため、歯の痛みが少なく、早く動くということです。

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全体がセラミック

◆主に白や透明素材を使用する全体がセラミックのブラケット

二つ目は全体がセラミックのブラケットです。通常はこのブラケットでワイヤーを透明なゴムで縛ります。

また、治療の始めと終わりの段階ではホワイトワイヤーを使用するため、目立たない装置を希望される方はこちらの装置を使用します。(ただし、治療の中盤の半年程は金属のワイヤーも使用します。)

この装置では、セルフライゲーションブラケット(クリッピー)に比べて治療期間が数カ月長くなります。

この2つの装置の性質を説明して、どちらが良いか患者さんに選んでいただいています。

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◆「遅すぎる」ことはない矯正治療

これらの治療の開始の時期は、12歳臼歯という一番奥の奥歯(前歯から7番目の歯)の歯の根っこの2/3ができる頃が一番良いとされています。つまり、歯の生え換わりの早い方で小学6年生頃、遅い方で中学2年生頃になります。

ただし、大人になってからでは歯の矯正をするのに遅すぎるかと言うと、そんなことはありません。歯と歯を支える骨がある程度しっかりしていれば、何歳になっても歯を動かし、キレイに配列した正しい咬み合わせにすることができるのです。

外科矯正治療

程度の強い受け口、出っ歯、開咬、顎の偏位の症例で、顎のズレが大き過ぎて矯正治療だけでは咬み合わせを治せない場合は、手術を併用して矯正治療を行います。これを外科矯正と言います。
歯が生えている土台である “顎の骨” のズレが大き過ぎると、歯のみを動かしても咬み合うところまで届きません。その状態を改善するための治療です。

下顎の骨を切る場合は、右図のように顎の骨の後ろの部分に斜めに切り目を入れて、矢印のように顎の前の部分を、症例により前後にずらして咬み合わせを治します。

下顎の骨手術例

◆外科矯正治療の流れ

術前矯正
手術時にある程度までは咬むように、術前矯正治療を行います。
(治療期間/1年半~2年程度)
手  術
全身麻酔をかけて顎の骨を切り、骨をずらして咬み合わせを正します。
(入院期間/2週間程度)
術後矯正
手術後にも咬み合わせの微調整を行います。
(治療期間/約1年)

その後、通常の矯正治療と同じく、約2年間の保定・メンテナンスを行います。

手術は、早稲田大学の近く新宿区戸山にある当院の提携先、「国立国際医療研究センター」の口腔外科で受けていただきます。
この施設には、以前は東京医科歯科大学の外科矯正手術専門グループに所属されていた先生がおられ、数多くの外科矯正手術が行われています。

治療や手術に対して不安がある場合は、治療を始める前に口腔外科の先生とお会いいただき、直接説明を聞くこともできますので、遠慮なくご相談ください。

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◆ボーダーラインケース

状態によっては、外科矯正でも矯正単独でも、どちらでも治療が可能なボーダーライン上にある場合もあります。 治療結果は下記のように異なります。

外科矯正をした場合
顎の位置が変わり、
顔立ちが良くなります。
矯正単独の場合
歯並び、咬み合わせは良くなるものの、
顔立ちはあまり変わりません。

ボーダーラインケースの患者さんには、手術の方法や入院期間などを説明するとともに、顔の変化をコンピューターで予測した写真などを見ていただき、患者さんご本人、親御さんとも話し合って治療の方針を決めます。

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◆保険が適用される外科矯正

外科矯正には健康保険が適用されますので、患者さんにお支払いいただく分は、総額で20万円程度となります。

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◆外科矯正の治療例

骨格のズレの大きい、受け口の患者さんの外科矯正治療例です。
(この患者さんは広島から転居してきた方です。術前矯正の大部分は広島の「ののやま矯正歯科」で治療されています。)

外科矯正治療例
口唇口蓋裂や先天異常の矯正治療

口唇口蓋裂とは、生まれつき上顎が割れている(上顎ができる過程で形成が阻害され、上顎に穴が開いてしまう)先天性の疾患です。日本人では500人に1人程度に見られる、比較的出生頻度が高い疾患で、生後3ヶ月と1年半頃に、形成外科や口腔外科で手術を受けその穴をふさぎます。

当院は「指定自立支援医療機関」ですので、口唇口蓋裂を始めとした先天性疾患による矯正治療には健康保険が適用されます。

当院の前院長の関口武司と、院長の北原裕は、東京医科歯科大学の矯正科の、口唇口蓋裂の治療グループにいたので、当院は、口唇口蓋裂の矯正治療においては、池袋の矯正歯科医院の中でNo1の実績があります。

◆歯並びと顎の成長にも影響を及ぼす口唇口蓋裂

口唇口蓋裂がある場合、顎が割れているすぐそばの歯が大きくねじれたり、上顎の成長量が小さくなり、受け口になったりするため、この場合には矯正治療が必要になります。
矯正治療により、顎の骨をコントロールしたり、ねじれている歯をきちんと配列させ、歯並びと咬み合わせを改善させます。

口唇口蓋裂は、生後早いうちに手術を受けることで皮膚の穴はふさがれていますが、見えない部分の歯槽部、歯ぐきの部分の骨は分かれたままです。そのため、その骨の分かれている部分をつなげる骨移植の手術が必要です。
その時期は、一般的に糸切り歯が生え換わる頃とされていますが、矯正科医は矯正治療を行いながら、患者さんの歯の生え換わる様子を観察し、手術を受けるのに適正な時期を把握し、口腔外科や形成外科に手術を依頼します。

顎の骨格に問題のある場合は、小学生の低学年から矯正治療を始めても、高校生から成人される頃まで治療は続きます。私たち矯正科医と患者さんとは、長いお付き合いをさせていただくことになりますね。

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◆口唇口蓋裂による受け口の治療例

写真の患者さんは左側の口唇裂の男の子で、初診時は小学3年生でした。

受け口の治療例

現在もまだ治療途中ですが、糸切り歯の生え換わりの時期を迎えたため二次骨移植手術を受け、分かれていた骨はつながりました。

今後は下顎の成長分を考慮しながら、もう少し上顎を前に出します。
すべての歯が永久歯に生え換わってから、ねじれている前歯を揃えて、全体的なバランスを整え、しっかりと咬める歯並びへと治療していきます。

顎関節症や咬み合わせが不安定な方の矯正治療

顎関節症とは、顎がひっかかったような感じになり、口が途中から開かなくなったり、口を開け閉めする際に顎関節で音が鳴り、顎に痛みが出る症状のことを言います。

原因としては筋肉や神経など様々なものがあると考えられていますが、そのうちの一つに、「関節円盤」という顎の関節に介在してるクッションのようなものがズレてしまったために、顎の運動がスムーズにできなくなることがあります。

(現在では顎の関節のMRIを撮るとそのズレを見ることができます)

関節円盤のズレは、現在では元に戻して安定させることは困難なため、これ以上ズレないようにしたり、痛みや関節雑音などの症状を改善してから矯正治療を開始します。

また、顎関節症になったことのある患者さんは、関節円盤の後ろの部分の靭帯が伸びていることがあるので、顎関節が緩んで、咬み合わせが不安定になる場合があります。

これらの症状を改善するために用いる装置が安静位型のスプリントと言うもので、取り外し式のマウスピースです。

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◆顎関節症の症状を改善させるスプリント

このスプリントは顎関節症の治療に広く使われている装置です。顎の関節に問題のある方にはスプリントを使用することで顎関節症の症状を改善させ、顎の咬み合わせや、顎の位置を安定化してから矯正治療を行っています。

スプリント
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◆スプリントを使用するその他の症状例

もともと咬み合わせが不安定で、普段歯が咬み合っている場所と、顎の関節や筋肉がリラックスしている場所が大きくズレている方がいます。

スプリント

このような方にも、矯正治療の前にスプリントを使用して、咬み合わせを安定化してから矯正治療を行います。また、就寝時に歯ぎしりをする方にもスプリントを使用することがあります。

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歯並びが悪く、歯が入り組んでいると、その部分の十分な歯みがきが難しく、むし歯になりやすくなります。また同じ理由から、大人になると歯石が溜まり易くなり、歯周病のリスクも高まります。上顎の前歯が出ていることにより、その出ている前歯を打ち付けてしまうこともあります。

咬み合わせの問題により、顎の成長が抑制されたり、顎の関節がダメージを受けることもあります。これらの問題は矯正治療により解決できます。

老夫婦イメージ

また、開咬と反対咬合は、歯科医師会の8020運動の調査から、歯が残りにくい咬み合わせである可能性が示唆されました。 これらの咬み合わせは、歯を維持するのが難しい可能性があるので、歯をより長く持たすためにも、矯正治療を行った方が良いと考えられます。